記念日

我々事でこういうのも変なのですが、実は本日9月15日は我がMEMOフォルダの創設記念日にあたります。

なぜ今頃こんなこと書くのかはお気持ちはわかりますが、我々としては2011年9月15日にパソコンの中に最初からあるメモ帳というアプリケーションを使って短めの物語を書けないものかと思い、なんとなくの気持ちで書き始めたのがはじまりでした。

それから10年が経ち多くの名作(?)を生み出してきました。

10周年を機にこれまで書いてきた作品を初公開して参ります。気になったとか興味がありましたら見ていただけると幸いであります。


浜本太郎の後悔 第五回

浜本太郎は高校3年生。友達もなく成績も芳しくなく自身としては留年はすでに決定と思っている。

年が明けて受験勉強に苦しくもやり続けてきた成果を大学センター試験にぶつける…はずだった。浜本はセンター試験をなぜか受けれない。そのことは浜本もわかっていた。

いくら勉強しても成績が上がらないどころか学年でヤンキーよりも下というレベル。

浜本はその高校に入っておかしなことがいくつかあった。

浜本「この学校に入ってから体操着に着替えたことないし、体育祭にも参加したことないし、修学旅行も行ったことない。制服はあるんだよなぁ。自分が座る席もあるんだよなぁ。このことを親に言ったら親はなぜかその場から逃げるんだよなぁ」

卒業間近とあって自分だけ進路が決まっていないことに日に日に焦りが強くなっていく。

そこで浜本は考えた。

浜本「僕には僕なりの道がある。北を目指そう。雄大な自然が僕を待っている」

 卒業当日

担任「みんな、ありがとうな。3年間何の問題もなくよくここまで来れた。明日から高校生ではなく大人への階段に1歩踏み込むんだ」

教師「せ、先生!テレビ!テレビをつけてください」
担任「テレビ?」

ニュース「北朝鮮平壌に日本人と思われる制服を着た若い男性を当局が発見し拘束したとの情報が入りました。なんでも「自分は東京○○高校の学生で浜本太郎である。牧場に就職するために来た」と意味不明な言動を発しているとのことです。
当局では日本人学生を厳しく追及していくとのことです」

担任「おい。あれうちの学校の制服だよな」
浜本が座っていた席にみんなが注目する。
担任「おい。ここに座っていたのが浜本とかいう」
生徒「先生、知らなかったですか?」
担任「名簿に浜本太郎とかいう名前なんてないぞ。おまえたちはあいつのこと知っていたか?」
生徒全員が首を横に振る。

教師が浜本の家に電話をかける。
親「たしかにうちは浜本なんですが、太郎とかいう子供なんていませんよ」
教師「それじゃ今まで浜本太郎だった少年は誰なんですか?」
親「だから今日でも警察に相談しようとしたところなんですよ」

当局「なぜこの場所にやってきた?」
浜本「北の国だから雄大な自然な場所目指して」
当局「ここは北朝鮮だぞ!北海道と間違えたか?」
浜本「来るところ間違えた!」

第五回おわり。

浜本太郎の後悔 第四回

浜本太郎はいつものように部屋の掃除をしていた。

浜本「今日も部屋の掃除完了」

浜本は外に出て庭いじり。雑草を取り色とりどりの花たちに水をかけた。

浜本「爽やかな1日だな♪」

今にも歌いたくなりそうなそんな心地よい日。

しかし…

浜本「こんなに快適な毎日を過ごしているのに、今お金がないんだよねえ。そして仕事もないんだよねえ。そして…明日行政から立ち退きを言われているんだよねえ。つまり今日がこの家との最後の生活なんだよねえ…」

小さい頃からきれい好きで親から家をきれいにしないと運が悪くなる。きれいにしているとすべてがうまくいき心もきれいになると言われ続け規則正しい生活を送った。

だが…現実は甘くなかった。

勉強しているにも関わらず、勉強も運動も最悪。高校受験に落ちその間に相次いで両親を失い、中卒という理由からどこにも彼を雇ってくれるところもなし。親戚になんとか家の生活費を工面してくれるよう頼んだ。最初はうまくいったが両親が生前何をしたのか知らないが生まれた時から親戚との関係が悪く浜本がいつまで経っても職に就けないと知ってから悪口、罵詈雑言を容赦なく浴びせる始末。
浜本の家は確かにきれいなのだが、近所でもきれいなのに何のいいこともないことに次第に嘲笑しはじめる。

住民「きれい好きなのにいいことなし」
住民「しかも明日この家から出て行くらしい」
住民「呪われてるよね元々から。家をきれいにしてるのに親は早くに死ぬわ。大金もらってもすぐに消えるし」
住民「借金の取り立ても激しいし」
住民「何をやったのか知らないけど警察が頻繁に来るし」

両親共々突然死なため警察から度々事情聴取を受けたことがあった。その聴取もあまりにも厳しいものだった。特に母親の死に関しては亡くなってから12時間が経っており近所の住民によって発見された。その間浜本は職場の面接に行っており帰ってきたら警察がいてなぜいなかったのか?などと理由を言っても「本当か?」と鋭く睨まれるほど厳しく問い詰められた。
というのも解剖の結果浜本の母の体内に薬の成分が見つかったのだ。しかし浜本は母に持病なんて聞いたことないと言う。結局その薬はサプリメントであり過剰に摂取したことによる心不全が死因。
浜本の疑いは晴れたがこれを機に両親を失い孤独になったばかりか住民からさらに奇妙な目つきで見られる。近寄るとすぐに逃げられるなど人間関係が修復不能なほどに悪化。
だが家の掃除と花の水やりが彼の心を癒す。
しかしそのときはやってきた。
立ち退き当日の朝。誰もいない早朝に外に出て鍵を閉めて俯いたまま重い足取りで長年住んだ我が家を後にした。

河川敷に来て
浜本「でやああああ!!」
と叫んで家の鍵を川に投げ捨てた。その後の浜本の消息はわからない。

彼の場合何もかもきれいにするが、そのたびに身の回りのものが消えて行く。
両親、運、人間関係、家。
最終的に自分自身まできれいさっぱり消えてしまった。

第四回おわり。

浜本太郎の後悔 第三回

浜本太郎は靴磨き職人。彼はニューヨークにいた。


浜本「アメリカに着いたけど。靴磨きやってるだけで果たしてアメリカンドリームを掴めるかな?」


浜本は英語ぐらいは負けない自身でニューヨークにやってきた。日本では汗水垂らして人の往来が多い街に来て靴磨きをしていた。仕事はうまくいき彼はこう思った。


浜本「アメリカでもやれるんじゃね?」


浜本は期待を胸にニューヨークにやってきた。

浜本「まあニューヨークにただ靴磨きで稼ぎに来ただけだしダメだったら帰るか」

路上に靴磨きセットを用意して座り客が来るのを待つ。30分後客がやってきた。

しかしその客は身なりがだらしないし汚いしどう見てもホームレスとしか思えなかった。だがそれでもその客は靴を磨いてくれと浜本に頼む。

浜本「はい。終わりましたよ」

客がくしゃくしゃのドル札を渡して去っていく。

浜本「お客さん!お釣り」

客「釣りはいらん!チャイニーズ」

浜本「いや、僕は日本人だけどな」


浜本は次の客を待った。しかし来ない。それどころか周囲が浜本を怪しい目つきで呟きながら見つめる。するとニューヨーク市警数人が浜本のもとへやってきた。

浜本「いらっしゃい!」

市警「客じゃないんだ。こんなところで何をやってる?」

浜本「御覧のとおり靴磨きですよ」

市警「靴磨き?今時そんな奴がいるとはな。路上で商売している奴に限って薬物の売買で摘発されているんだ。あらためさせてもらうぜ」

警官数人が浜本の持ち物やパスポートを調べた。


市警「これといったブツは見つかってないな。よしわかった」

浜本「もういいんですね?」

市警「確保!」

浜本「え?」

市警「ここは商い禁止エリアだ!」

浜本「気づかなかった!」


浜本太郎が日本に帰れたのは5年後のことであった。


第三回おわり

浜本太郎の後悔 第二回

浜本太郎は女子校の教師として赴任した。


浜本「やっと教師としての第一歩だな。それにしても長かったな。いや長過ぎたのが正しいかな?高校を5年で卒業してその後どうせ進学や就職は無理だからどこかに身を隠したのだが、ある日黒服の男数人に拉致されやってきたところが窓もないなんとも重苦しい暗い部屋だったな。そしてここで受験勉強しろと言われたな」


浜本はその暗い部屋で大学受験勉強を受けた。しかし猛勉強をしたにも関わらず志望校に落ち続け5年が経ってようやく六流の誰もが行きたがらない大学に受かった。


浜本「猛勉強したのに六流って…。一体この5年間何だったんだ?しかしこれでも早稲田慶應レベルの頭脳はあるんだぞ。大学に行っても全然面白くなかったな。けど辞めたら後が残らないんだな。気づけばアラフォーなんだよな僕は」


友達がいないどころか本当に大学として機能しているのかと思わんばかり廃れ過ぎた校舎に嫌々登校し続けた結果、教員免許を取得できた。ちなみにこの大学を卒業するのになぜか成績いいのに6年を要した。


さて教師となった浜本の赴任先がなんと女子高校。これには浜本も強烈な不安に襲われる。

浜本「よりによって女子校…。こんな毬栗頭のあまりイケるというより世間に出てはいけないほどの醜い顔の僕が教壇に立った瞬間に何されるかわからないな」


浜本は大きな不安と少しだけの希望を胸に女子校に入った。職員室に入ろうとしたが職員室が閉まっていた。すると体育館から声が聞こえる。浜本が体育館に向かうとそこには多くの生徒と教師たちが校長と思われる初老の男性に目を向けて校長の話を聞いていた。全校集会である。


教頭「ここで本日より赴任してこられました新任の先生方を紹介します」


新任の教師たちが壇上にあがるなり女子たちの嬉しい悲鳴が館内に轟いた。


教頭「コラ!静かにしなさい!先生たちの挨拶が聞こえないではないか!」


壇上にやってきた新任の教師たちは全員この世のものと思えないほどのイケメンだった。


教師A「どうも神奈川県立高校から転任しました藤原です。担当教科は数学です」

女子生徒「きゃあ❤️」

教師B「どうも大阪学院高校から転任してまいりました西村どす。担当教科は日本史です。どうぞよろしゅうお願いします」

女子生徒「うっとり❤️」

教師C「どうも広島学園高校から転任してきました伊藤と言います。担当教科は英語です。どうぞよろしくお願いします」

女子生徒「喜んで❤️」

教頭「ええあと1人。どうやら遅刻しているようですが…」


物陰に隠れて見ていた浜本の番だ。しかしイケメン揃いの新任の中に醜男の浜本は出ようにも出にくかった。


浜本「よりによってイケメンしかいないって…」


意を決して出ようとしたそのとき。


教師D「遅れてすみません!」

1人の教師が慌てて壇上に上がった。そのとき女子生徒たちがキラキラ輝く眼差しでその教師を見つめた。

教師D「どうも。東北総合高校から転任しました山本と言います。担当教科は国語です。よろしくお願いします」

教頭「あ、ちょっと待ってください。浜本じゃないんですか?」

山本「山本ですけど」

教師「ああすみません!間違えました」

教頭「そうなの?頼みますよ!間違えないでください!」


そして全校集会が終わり体育館は浜本1人だけとなった。なんとも言えないような感じだった。

浜本「………。なんなのぉぉ!!」


浜本の無情な叫びが体育館に響いた。


浜本は結局教員免許は持っているが彼を雇ってくれる学校はどこにもなかった。


第二回終わり

浜本太郎の後悔 第一回

浜本太郎は高校生。今日もまた遅刻した。


浜本「まただ。毎日だ。入学してからずっとだ。一度も登校時間8時30分以内に来たことがない。ギリギリもない。到着したときにはすでに3時間目が終わったころだ。しかし一回も怒られたことはない」


浜本はどうせ今日も遅刻と知りつつそれでも走る。心臓がぶち破れるほど走り続ける。


浜本「僕の通っている学校は変に厳しい。自転車登校禁止、電車・バス登校も禁止。とにかく遠かろうが近かろうが歩いて登校」


浜本は好きで今の学校に通っているわけではなかった。


浜本「中学のときあんなに成績が良かった。期待しつつ高校受験に挑んだ。勉強し続けた甲斐があったおかげでどの教科の問題は簡単を通り越して、こんなもん小1でもできるとまで心の中で豪語した。なのに全部不合格!僕はどん底に突き落とされた。それからなぜ落ちたのかを考える毎日。それをみかねた担任から今の学校を紹介された。しかし、異常に遠過ぎる。小さいころから何をしても最後に地獄が待っている」


浜本は強い後悔に襲われながら学校へ突き走る。しかし走れど走れどなかなか着かない。

道を間違えたのか?


浜本「確かに後悔してる。だが先生から親からこの学校がいいと勧められるから止むを得ず選んだ。この学校に入ってから何もいいことない。ピンチだらけだ」


担任に名字で呼ばれたことがない。

僕の席だけ隣がいない。

同級生に声をかけても完全無視。

僕だけ体操着が未だにこない。

ノートを提出した最後なぜかなくなっている。

スマホを持っているがなぜか僕だけ圏外。

休み時間なのに僕が廊下を通るときに限って誰もいない。


なかなか学校にたどり着かない浜本の前に巡回中のパトカーが止まった。

警察「ちょっと君!止まって!」

浜本「ハアハアハア…。何ですか!?」

警察「そんなに怒らなくていいじゃない」

浜本「登校してるのに」

警察「またまたぁ。そんなこと言って何か仕出かして逃げてるんじゃないの?」

浜本「違うって!もうダメだ」

警察「必死な気持ちわかるけど、名前と生年月日と住所を教えなさい」

浜本が息切れしながら警察の問いに答えた。

警察「わかりました。それではもういいです」

浜本「おたくらはもういいけど、こっちは完全に遅刻だよ」

警察「知らないですよ。そもそもあなた本当に高校生ですか?」

浜本「どうみてもこの制服といい高校生でしょうが!」

警察「気をつけてくださいよ。高校生と見せかけて自分を高校生だと思っていい歳して青春を謳歌してる中年男性の方を我々は2、3人職質したことありますからね」

浜本「なんちゅうおっさんだ?」


職質のあと学校へ向かう。そして到着した。

浜本「やっと着いた。けれど妙に静かだな。誰もいないな。まさか午前中に終わってもう全員下校したのかな?」

するとそこへジャージを着た教師が浜本を珍しそうな目をしながらやってきた。

教師「何か?」

浜本「ごめんなさい!遅刻したことは謝ります!だから門を開けてください」

教師「はあ?」

浜本「あのう…ほかの生徒は?」

教師「いねえよ」

浜本「もう終わったんですか?」

教師「来てないよ誰も」

浜本「え?」

教師「とぼけてるの君?今日日曜日だよ」

浜本「………」

教師はそう言ってその場から去った。どうりでおかしいと思った。登校してるのに職質を受けたり行く先々で人々から奇妙な目つきで見られたりなど。


浜本には惨憺たる人生の毎日のせいで曜日の区別などなかった。


第一回おわり


MEMOフォルダ 挨拶

初めましてMEMOフォルダです。

私はパソコンの「メモ帳」というアプリケーションを使っていろんな作品をなんとなく書いております。

まだまだ未熟ですがよろしくお願いします。

ちなみにこのブログでは作品だけでなく日常のことや世間の話なども書きます。

どうぞお見知りおきを。

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