地下人 第3話 最低限の新生活

山田太郎は今年から1人暮らしを始めた。

アルバイトを転々としながらお金を稼いだ結果、苦節15年にして賃貸だが1Kの家賃4万の住まいを得た。

苦節15年で新生活とは理解しがたいがアルバイトをしても行く先々で思わぬ災難に遭遇する。

上司や同僚からの理不尽かつ凄惨ないじめ、客から理不尽かつ凄惨な注文とクレーム。

しかし自称地下人の山田にとってそんなことはどこ吹く風だった。

最初からこうなると思って地獄の入り口にあえて飛び込んだ。

 

さて苦闘の末に30代後半にして手に入れた住まいだが、生活に必要なものを用意しなければならない。

洗濯機はないので基本水洗い。食器がないので基本紙皿と紙コップで我慢。ただし風呂関連の用品だけは揃うことができた。

しかし築年数はそんな古くはないのにガスが故障している。これではお風呂に入れないし、料理も作れない。不動産屋の態度も悪ければ、肝心のこのアパートの大家に会ったことがない。不動産屋に大家さんに会いたいと言うと「そんなのいるわけないでしょ」の一点張り。

とにかく住まいは手に入れたが元来人見知りの山田にとってまたもや安らぎなどない苦闘が再び始まった。